模型表現の芸術性について
模型表現の芸術性について
私達が個人で楽しむ鉄道模型と交通 博物館.公園等の展示車輛模型との違いは「作者がその車輛をどのような印象を模型上に表現したいか」という芸術性の有無にあると思います。豊富な平面 データにより比較的正確な模型化寸法を求めることができる窓やドアの縦横寸法等にはそのような芸術性が入り込む余地は少ないのですが、「パイピンクの太さ」「窓枠の幅」「シルヘッダーの厚さ」「正面 のオデコのカーブ」等、正確な模型化寸法を求めるのが困難な部分に作者の意図が表現されると考えます。スマートなDT650を作りたいのか、重厚なDT650を作りたいのか、日ごろ作者が対象車輛に抱いているイメージが模型に表現される訳です。台鉄型舊型客車の模型も作者によって側面 の印象が様々です。窓寸法やシルヘッダー・雨樋の位置は全部スケールに正確でも、側板の厚さ・窓枠材の厚さと幅・シルヘッダーの厚さと幅の選択で印象は大きく異なってきます。無意識である場合も含めてこれが表現の芸術性だと考えます。これをできれば意識的に操作して、自分の主張を模型上に表現したいと考えています。例えばEMU100の電聯車の正面 妻板のオデコのカーブを削る場合、日頃、様々な光線の元で自強號の顔に親しみ、あたかも仏像作者のごとくイメージが出来上がっているモデラーは、手許に写 真が無くても素晴らしい顔を再現するこができるでしょう